2010年10月16日
無条件に安全な食品・食品成分は存在しない
サプリメント管理士を統括している「新生活普及協会」より会報が届きました。
その中でぜひ皆さんに知って頂きたいお話が掲載されていたのでご紹介しますね。
文監修:新生活普及協会 会長 末木一夫
「すべてのものが毒である。なぜならば、毒性のないものはないからである。
それが有害か無害かは量で決まる」
これは16世紀のスイスの医師パラケルススの言葉で
現在においても毒性学の基本になっています。
毒性学とは、あらゆる物質の生物への悪影響について調べる、科学の一分野です。
このパラケルススの言葉は、食品や食品成分にもあてはまります。
無条件に安全な食品や食品成分は残念ながら存在しません。
かといって、「毒性がある」=「直ちに危険」というわけではありません。
有害な影響をもたらす可能性がある物質や状態のことを「ハザード」といいます。
そして、ハザードによって被害を被る確率が「リスク」です。
リスクはハザードとの接触、つまり「曝露(ばくろ・さらすの意)」によって生じます。
食品であれば、“摂取すること” が曝露にあたります。
しかし、「曝露」=即「健康被害」ではありません。
リスクは、ハザードの毒性の強弱や、曝露量(摂取量)などを
統合的に考え合わせたものだからです。
例えば、日本人が毎日のように食べている米には
リゾレシチニンという溶血性物質が含まれています。
しかしその量はわずかですので、毎日、毎食ご飯を食べても分解・排泄されてしまいます。
一方、ナトリウムはヒトが生命を維持するうえで欠かせない大切なミネラルですが
多量の食塩を一度に摂取すると、量によっては死に至ることがあります。
また、塩分の多い食事を長年続けることが、高血圧などのリスクを高めるのも
よく知られた事実です。
リスクの大きさは、「ハザード×曝露量(摂取量)」によって推測されるということを
覚えておきましょう。 実際にはさらに、摂取する人間側の要因
(性別・年齢・遺伝要因・環境・習慣など)も加わります。
100%安心な食品がない以上、リスクは常に私たちの側にあります。
だからこそ、大切になるのが リスクを冷静に見極めたうえで
ベネフィット(便益性)とのバランスをとるということです。
例えば、メチル水銀の影響を避けるために魚介類を食べないようにしたら
魚介類が重要な摂取源となるEPAやDHA、カルシウムなどの各種栄養素も
摂れなくなってしまいます。食品添加物や残留農薬のような厳密な安全性基準を
一般に食している野菜や肉にあてはめたら 食べるものがなくなってしまうかもしれません。
天然だから安心、食品だから安心 ということもありません。
自然にもある食品や栄養成分だからリスクなどありえない、
食べれば食べるほど体に良いと大量に摂り続け、過剰摂取になってしまうケースもあります。
最もリスクが高いのは「ゼロリスク」という幻想に陥ってしまうことかもしれません。
食の安全に関する報道は、言葉の意味を知らないと 酷く恐ろしいものに聞こえがちです。
過去にも、カイワレ大根やキンメダイ、牡蠣などが
まるでそれ自体が悪の根源のような報道がされ風評被害となりました。
食品にゼロリスクはありえないのですから、やみくもにハザードを避けても
新たなリスクを産むだけです。
またその逆に 何か一つの食品を食べ続けることによって
健康が保たれることもありえません。
大切なのは、バランス です。
報道に惑わされることなく、消費者の皆さんが正しい知識を持つことが重要です。
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Posted by サプリメント管理士 at 09:40│Comments(2)
│健康について
この記事へのコメント
「毒にも薬にもならない」と言う言葉が
ありますが、そんなことはなく、
自然界は生き残る手段として戦略として
身を守るべく「毒」を要してきたのです。
こういう、難しい話が本当は好きな私ですが‥
さて、「彼岸花」にも、リコリンやアルカロイドと
言う毒がありますが、戦争中はこの花も食用として
食したそうです。食べるのは球根のところで茎では
ないのですが、なんとか工夫して食べちゃう‥
その辺りが、私はちょっと、悲しくなるのですね‥
ありますが、そんなことはなく、
自然界は生き残る手段として戦略として
身を守るべく「毒」を要してきたのです。
こういう、難しい話が本当は好きな私ですが‥
さて、「彼岸花」にも、リコリンやアルカロイドと
言う毒がありますが、戦争中はこの花も食用として
食したそうです。食べるのは球根のところで茎では
ないのですが、なんとか工夫して食べちゃう‥
その辺りが、私はちょっと、悲しくなるのですね‥
Posted by 夢〜 at 2010年10月16日 22:49
夢~さま、毒性学の勉強はおもしろかったですよぉ~(^◇^)
一つ間違えれば大の男もイチコロになる・・・
これこそ、「匙加減」です
アルカロイドを含む植物は多く、量を間違えると神経障害をおこしますね。
でも近年は、抗ガン剤に使われています。
人間の知恵と、自然界の知恵の融合か?それとも戦いか?
さて、どちらでしょうね^^
一つ間違えれば大の男もイチコロになる・・・
これこそ、「匙加減」です
アルカロイドを含む植物は多く、量を間違えると神経障害をおこしますね。
でも近年は、抗ガン剤に使われています。
人間の知恵と、自然界の知恵の融合か?それとも戦いか?
さて、どちらでしょうね^^
Posted by サプリメント管理士 at 2010年10月17日 12:02